膵臓がんと腫瘍マーカー ― 数字だけでは分からない本当の話 ―

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2026.01.30

膵臓がんと腫瘍マーカー ― 数字だけでは分からない本当の話 ―

膵臓がんは、見つけるのがとても難しいがんとして知られています。その理由の一つが、腫瘍マーカーがあまり役に立たないことが多いという点です。
「血液検査でがんは分からないの?」
「腫瘍マーカーが正常なら安心していいの?」
こうした疑問を持つ方は少なくありません。今回は、膵臓がんと腫瘍マーカーについて、できるだけ分かりやすく、大切なところを説明します。

そもそも「腫瘍マーカー」とは?
腫瘍マーカーとは、がんが体にあるときに血液の中で増えることがある物質のことです。主にがん細胞によって作られるタンパク質などの物質です。

ただし、腫瘍マーカーは「がんを見つけるための検査」ではありません。
あくまで、
参考になることがある
状態の変化を見る
ための数字です。この点は、最初に知っておいてほしい大切なポイントです。

膵臓がんでよく使われる腫瘍マーカー
膵臓がんで最もよく知られている腫瘍マーカーは、CA19-9です。多くの医療機関で測定されていますが、ここで注意が必要です
 CA19-9は、膵臓がんを早く見つけるための検査ではありません。

なお、膵臓がんに関する腫瘍マーカーはCA19-9以外にも、CEA、DUPAN-2、Span-1、CA50などがあります。

なぜ早期の膵臓がんでは上がらないの?
理由はいくつかあります。
まず、膵臓がんが小さいうちは、体の中に出てくる物質の量がとても少なく、血液検査では変化として表れにくいのです。
膵臓は体の奥にあり、症状が出にくい臓器です。腫瘍マーカーも上がりにくいため発見が難しいと考えられています。
さらに重要なのが、体質的にCA19-9が上がらない人がいるという点です。この場合、膵臓がんがあっても、進行していても、数値はずっと正常のままのことがあります。
つまり、
腫瘍マーカーが正常だからといって、膵臓がんがないとは言えません。

逆に、数値が高いと必ずがんなの?
これもよくある誤解です。
CA19-9は、胆石や胆管の炎症、肝臓のトラブルなど、がん以外の病気でも上がることがあります。
そのため、「数値が高い = すぐにがん」というわけではありません。

腫瘍マーカーの本当の役割
腫瘍マーカーが一番役立つのは、
治療のあとに数値がどう変わるか
状態が安定しているか
変化が起きていないか
といった、経過を見守る場面です。
最初にがんを見つけるための検査ではない、という点がとても重要です。

盲点となっている点は
腫瘍マーカーが正常範囲内の場合でも数値自体が経過とともに上昇傾向にある時は注意が必要です。経過を見ていくうえで参考となる検査です。

新しい可能性の血液検査「APOA2アイソフォーム」の紹介
これまでの腫瘍マーカーは、早期の膵臓がんの検出には向いていませんでした。
しかし最近、APOA2アイソフォームという新しいマーカーが、膵臓がんの早期発見に有用となる可能性があることが分かってきました。

APOA2アイソフォームは、血液検査で測定することができます

APOA2(アポリポプロテインA2)は本来、体の中で脂質を運ぶ役割をしているタンパク質ですが、がんがあるとその形が変化し、アイソフォームと呼ばれる異なる型が現れることがあります。

特に膵臓がんでは、このAPOA2アイソフォームの変化が早い段階から検出できる可能性があり、従来の腫瘍マーカーでは難しかった早期発見への期待が高まっています。
将来的には膵臓がんの早期発見に役立つ新しい検査方法として注目されています。

新しい考え方の検査「マイシグナル」
最近、マイシグナルという新しい検査が注目されています。
これは、リキッドバイオプシーという新しい技術を応用した検査の一つです。リキッドバイオプシーとは、血液や尿などの体液を使って、がんの情報を調べる方法のことです

マイシグナルの仕組み
マイシグナルは、尿中に含まれるマイクロRNAを測定する検査です。
マイクロRNAとは、体の中で遺伝子の働きを調整している、とても小さなRNA(遺伝物質)のことです。がんができると、このマイクロRNAの種類や量が変化し、尿の中に排出されることが分かってきました。
マイシグナルでは、この尿中のマイクロRNAのパターンを調べることで、複数のがん(膵臓がん、肺がん、胃がん、大腸がん、食道がん、卵巣がん、乳がん、前立腺がんなど)のリスクを一度に評価することができます。

マイシグナルの特徴
尿を出すだけ:血液を採る必要がなく、体への負担がほとんどありません。
複数のがんを同時評価できる:一回の検査で複数のがん種のリスクを調べられます。
従来の検査とは異なる視点:血液検査や画像検査では見つけにくい段階のがんのリスクを評価できる可能性があります。

膵臓がんも対象に含まれており、従来の腫瘍マーカーでは検出が難しかった早期のがんを見つける手がかりとなることが期待されています。

マイシグナルの位置づけ
マイシグナルは、とても新しい考え方の検査ですが、
 これだけでがんが分かる検査ではありません。
「念のため詳しく調べたほうがいいかどうか」を考えるきっかけとして使う検査です。
腫瘍マーカーと同じく、結果は必ず医師と一緒に判断する必要があります。
ただし、体への負担が少なく手軽にできる検査ですので、早期発見のための新たな選択肢として、多くの方に受けていただきたい検査の一つです。

大切なのは検査を組み合わせて考えること
膵臓がんでは、一つの検査結果だけで安心しないことがとても大切です。
体の不調
体重の変化
糖尿病の悪化
画像検査
血液検査
APOA2アイソフォームやマイシグナルなどの新しい検査
これらをまとめて考えることが、見逃さないためのポイントです。

まとめ
腫瘍マーカーは早期の膵臓がんでは上がらないことが多い。
正常でも安心しすぎない。
高くても、すぐにがんとは限らない。
マイシグナルは「気づくための検査」として有用である。
検査結果は必ず総合的に判断する。

さいごに
検査の結果が正常でも、
「なんとなく体調がいつもと違う」 「理由ははっきりしないけれど不安がある」
そのように感じることは、決して珍しいことではありません。
小さなことでも構いませんので、心配なことがあれば一度ご相談ください。ちょっとした受診が、大きな病気を早く見つけるきっかけになることもあります。

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